看護の現場で、自分が納得のいく仕事ができたときに良い気分となり、思わずその功績を自慢せずにはいられなくなることもある。自分がいかに優秀な看護師であるのかという拠り所を証明させることができたときに、人はこれまでにない自信を持つようになり、その自信があることによってレベルの高いことに挑戦していこうとする向上心が呼び起こされていくのです。しかし、いくら自分が誇るべきことだからといって、周囲に手当たり次第に自慢したがる人がいることも考えられて、人によっては、自慢ばかりする人を敬遠して、なるべくその人に関わらないようにしていこうとする気持ちになってしまうのです。こうしたことから、自慢することは一見、自尊心を高める上での要素となる一方で、自分を大きな存在として崇めてほしいという傲慢な態度を見せることにもなるのだと意識していくべきなのです。
看護の仕事は基本的にハード、ついつい自分がこれだけ大変な仕事をしているんだからね、という大変さを自慢したがる看護師がおられると思うのです。そうしたことを披露する心理とは、いかにも自分が苛酷な仕事にも耐えていくことができるのだという意志表示をしていることに等しいのであり、自分の体験を語ることで周りの人の共感意識を得ようと働きかけている行為となるのです。中には、「私の上司なんだけどさ~、やたら私にベタベタとまとわり付いてくるのよ、そいつがさ~、ねえ○○ちゃん、俺と一緒に飲みに行こうよ~とか言って、事あるごとに私を誘おうとしてくるのさ、私としちゃあウジ虫のような上司だけどさ、それでもそいつの元で辞めずにちゃんとやっているんだから立派だと褒めてもらいたいくらいだわ」といった愚痴を同僚に話していき、同時に自分がキモい上司にも負けないくらいの強い女だということを知らしめていることがうかがえてくるのです。本来、愚痴を言い合う女たちの語らいの場が、いつの間にか不幸自慢大会へと移り変わることも往々にして考えられることであり、その大会で見事に自分が優勝したことを、周りの人に今一度祝福してほしいという気持ちが湧き上がってくるのです。本来の場違いなことで優勝をすることで予想外に良い気分となり、またこうした語らいの場を設けるのもいいかな、という気持ちになってくるのです。余談ですが、「あたしこう見えても○○歳なのよ、どう若く見えるでしょ?」と自分の若々しさを自慢げにアピールする方がおられることも事実なのです。